アフガニスタン

 IRCMEでは、2005年から2012年にかけて独立行政法人国際協力機構(JICA)のアフガニスタン医学教育プロジェクトを通して、同国への医学教育支援を行いました。

【協力プロジェクト】

  1. 医学教育プロジェクトの立ち上げ
  2. JICA医学教育プロジェクト
  3. JICA医学教育プロジェクト・フォローアップ協力

【背景】 アフガニスタンでは、長期に及んだ内戦の結果、保健医療施設が破壊され、医師や看護師も国外流出したため、適切な保健医療サービスを受けることは難しく、保健医療状況はとても劣悪な状況が続いていました。安全な水へのアクセスがない世帯は、都市でも約40%あり、農村においては約70%に上っています。妊産婦死亡率は世界で2番目に高く(1,600/100,000出生)、栄養失調の子供は40%と推定されます。そのような状況に対してJICAは、基礎的な保健医療サービスを提供することができる総合臨床医(General Practitioner: GP)を養成するため、カブール医科大学を中心とした医学教育システムを構築することとなりました。センターでは、アフガニスタンから教員を招いて研修を実施したり、センター教員が専門家としてアフガニスタンに赴くなどして、GP養成に向けた協力を行いました。

1. JICA医学教育プロジェクトの立ち上げ

2002年1月に東京で行われたアフガニスタン復興支援国際会議において、日本は、向こう2年半で最大5億ドルの復興支援を行うことを表明した。これを受けて、文部科学省やJICAは、アフガニスタンに対する医学教育の支援について検討を始め、当センターも、文部科学省やJICAと協力しながら、具体的な支援の方法について検討していくこととなった。

(1) アフガニスタン保健医療基礎調査団分遣隊(医学教育)調査

2003年8月5日~8月15日に、大滝純司助教授と水嶋春朔講師が、文部科学省とJICAの職員とともに、医学教育支援を行うための今後の協力方針策定に必要な情報の収集、および先方政府の要請ニーズについて調査、検討を行った。

(2) JICA短期研修

アフガニスタン保健医療基礎調査団分遣隊(医学教育)調査での合意に基づき、2003年12月1日~12月13日に、医学教育の責任者であるGul Mohammad Tanin高等教育省学術調整局局長とCheragh Ali Cheraghカブール医科大学学長を招聘して、今後の具体的な協力推進方法を協議し、さらに日本における医学教育の概要を理解してもらうための短期研修を実施した。

(3) アフガニスタン国医学教育プロジェクト事前評価調査

2004年7月19日~26日に、北村聖教授と水嶋春朔講師が、吉田一郎久留米大学医学部教授とJICA職員とともに、医学教育プロジェクトの基本計画等について、カブール医科大学、高等教育省、保健省およびWHOカブール事務所と協議を行った。協議結果をもとに、医学教育プロジェクトの基本計画をProject Design Matrix(PDM)ドラフトとPlan of Operation(PO)ドラフトにとりまとめ、アフガニスタン側と合意した。

(4) JICA国別研修「医学教育」

事前評価調査での合意に基づき、2005年1月17日~2月25日に、カブール医科大学で医学教育改革を中心となって進める6名の教員を招聘して、医学教育に関する6週間の研修を実施した。

(5) JICA医学教育プロジェクトの開始

2005年3月7日に、日本とアフガニスタン政府が、医学教育プロジェクトの実施について合意し、2005年7月1日からプロジェクトが開始された。

2. JICA医学教育プロジェクト

(1)プロジェクト概要

(1)目的

1)上位目標:カブール医科大学によって開発された新しい医学教育システムがアフガニスタンにおける標準システムとして認められる。
2)プロジェクト目標:カブール医科大学において総合臨床医(GP)養成型の医学教育システムが実施される。
3)アウトプット:
①カブール医科大学教員のGP養成能力が向上する。
②カブール医科大学内の医学教育開発センターの機能が強化される。

(2)実施期間

2005年 7月1日~2008年 6月30日(3年間)

(2)センターの活動実績

1)専門家派遣

大西弘高講師を始めとするセンターの教員が、短期専門家、運営指導調査団員、終了時評価団員として派遣された。さらに、足立拓也客員研究員(当時)は短期専門家として1回(20日間)、さらに14ヶ月間にも及ぶ長期専門家としても派遣された。

<センター教員の専門家派遣実績>

  • 2006年2月1日~14日(14日間)    大西弘高講師(短期専門家)
  • 2006年8月21日~9月5日(16日間)   武田裕子准教授(短期専門
  • 2006年6月14日~23日(10日間)    大西弘高講師(運営指導調査団員)
  • 2006年12月16日~31日(16日間)   武田裕子准教授(短期専門家
  • 2007年5月28日~6月10日(14日間)   大西弘高講師(短期専門家
  • 2007年9月3日~16日(14日間)    大西弘高講師(短期専門家)
  • 2008年1月7日~18日(12日間)    大西弘高講師(短期専門家)
  • 2008年5月14日~28日(15日間)    大西弘高講師(短期専門家)
  • 2008年5月21日~30日(10日間)    北村聖教授(終了時評価団員)
2)研修員受入

本邦研修を5コース実施し、計38名の研修員を当センターにて受け入れた。技術交換として、マレーシア国際医学大学で5名の研修を実施した。

  • 第1回 2005年11月7日~12月19日(研修員6名)
  • 第2回 2006年11月6日~12月18日(研修員8名)
  • 第3回 2007年2月6日~3月16日 (研修員8名)
  • 第4回 2007年11月5日~12月14日(研修員8名)
  • 第5回 2008年4月13日~5月3日 (研修員8名)

3. JICA医学教育プロジェクトフォローアップ協力

医学教育プロジェクトの終了までに十分に実施することができなかった活動を、プロジェクト終了後にフォローアップ協力として実施した。

(1)専門家派遣

短期専門家として大西弘高講師が、2009年4月14日~22日および2010年5月7日~15日に派遣され、コース評価・教員評価に関する現状分析と解決への助言、カブール医科大学と他大学の教員向けのワークショップの実施、医学教育改革に向けて大学が直面する問題に対する解決策の検討などを実施した。同様の派遣は2009年11月にも予定されていたが、大統領選挙に関連した業務を行っていた国連関係職員が襲撃される事件が起こったため、JICAからの業務委託契約を結び、国内作業を行った時点で中止となり、現地派遣は行われなかった。

2)研修員受入

カブール医科大学で浸透しつつある新しい医学教育システムを、他大学においても拡充させることを目的として、2009年度より年2回ずつセンターが本邦研修を実施した。

①2009年度第1回 2009年7月6日~8月12日(カブール医科大学6名、他大学6名)
②2009年度第2回 2009年11月4日~12月10日(カブール医科大学6名、他大学9名)
③2010年度第1回 2010年10月18日~11月26日(カブール医科大学6名、他大学7名)
④2010年度第2回 2011年1月12日~2月24日(カブール医科大学6名、他大学9名)
⑤2011年度第1回 2011年10月3日~10月27日(カブール医科大学5名、他大学8名)
⑥2011年度第2回 2012年2月6日~3月7日(カブール医科大学9名、他大学8名)

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