沿革

 本センターは、医学教育分野における国際協力について実践的な観点から研究・開発を行い、加えて大学を中心とする医学教育国際協力研究ネットワークの拠点的機能を果たすことを目的として、2000年4月1日に東京大学学内共同教育研究施設(全学の附置センター)として設置されました。

 センターは、医学教育国際協力研究部門、医学教育国際協力事業企画調整・情報部門の2つに分けられていました。医学教育国際協力研究部門は、医学教育・医療者教育のあり方を幅広く研究することを目的とし、医学教育に関するワークショップや定期セミナーを開催するなど、実践的な研究活動の成果や集積した情報を活用して医学教育の発展に寄与することを目指す部門でした。

  一方、医学教育国際協力事業企画調整・情報部門は、医学教育分野(医・歯・薬・看護・公衆衛生・リハビリテーションの学部教育および現任者教育)の国際協力活動を推進している部門です。主に、JICAでの技術協力プロジェクトに関連した業務を実施してきました。

 両部門に「医学教育」、「国際協力」と仰々しい用語が並んでいたのは、広島大や筑波大の教育開発国際協力研究センター、名古屋大の法政国際教育協力研究センターや農学国際教育研究センター 、豊橋技術科学大の前工学教育国際協力研究センター(豊橋技術科学大学国際協力部門)と並び立つ分野別国際教育協力センターの位置づけとしてスタートしたことによります。これは、東京大学医学教育国際協力研究センターが、全国の医療系大学などと協働し、国際協力を展開することが期待されていたことを意味します。しかし、2001年の遠山プランによる大学間競争の激化、2004年の国立大学独立法人化等もあり、大学間で国際協力事業を協力して行うことは難しくなっていきました。

 また、1年のうち数ヶ月外国人客員教員を招聘することは、以前はセンターとしての大きな活動でした。医学教育分野に造詣の深い海外の専門家が招聘され、医療系の教員、指導者、学内の学生・研修医に対する知的刺激を与えるとともに、医学教育に関する最新の知見を外部に広く発信してきました。当初は、米国の教員が中心でしたが、徐々に対象は拡がり、国際協力事業とのタイアップも図られることもありました。

 医学教育国際協力センターが最も大きく花開いたのは、2005年7月からのJICAアフガニスタン医学教育プロジェクト、 2007年9月からの国際協力銀行による円借款インドネシア大学整備事業・案件形成促進調査、2007年12月からのJICAラオス国セタティラート大学病院医学教育研究機能強化プロジェクトなどを展開してきた時期でしょう。これらのプロジェクトにより、国内外での医学教育に関し、センターは存在感を増していくことができました。

 2013年4月からは、新たに医学系研究科の附属センターとして、名称も医学教育国際研究センターとし、新たに医学教育学部門、医学教育国際協力学部門の二部門での構成としました。医学教育学部門は元は「医学教育国際協力研究部門」であり、設立の経緯と比べると、「国際協力」の占める位置づけはやや縮小された印象があります。

 一方、医学系研究科の附属センターとなったことで、大学院の協力講座としての機能が付け加わったのはありがたい変化でした。医学教育国際協力学部門では、国際保健学専攻の協力講座として医学教育国際協力学、公共健康医学専攻の協力講座として保健医療人材育成学の授業や大学院生受け入れが可能となっています。

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