第64回セミナー
テーマ | 「プロフェッショナリズムの教育と評価」 Teaching and Evaluating Professionalism in Medical Trainees |
講師 | ジョイス・ピカリング先⽣(Joyce Pickering, MD, FRCPC, FACP) カナダ マギル⼤学医学部附属病院医⻑、医学部医学科副学科⻑・准教授 東京⼤学⼤学院医学系研究科医学教育国際研究センター 特任准教授 (2013年10⽉-2014年3⽉) |
日時 | 2014年3⽉26⽇(⽔) 18時00分〜19時30分 |
概要 | 今⽇の医学教育においてプロフェッショナリズムは重要なトピックとなっている。患者福祉の優位性、患者の⾃主性、社会正義という3つの基本原則に基づいており、専門家としての責任として包括されている。本セミナーでは、プロフェッショナリズムの概念、その教授法、様々な評価⼿法について検討したいと思う。また、⽇本でのプロフェッショナリズムの教育と評価の特徴についても意⾒の集約を図りたい。 |
資料 | ポスター、スライド 講演ビデオ |
第63回セミナー
テーマ | 「インドネシアでの多職種連携学習プログラムの試み」 “Community-based Interprofessional Collaboration (COMIC) Programme: an interprofessional learning for medical and health professional students in Indonesia?” |
講師 | ドゥイ ティアストゥティ先⽣(Dwi Tyastuti, MD, MD, MPH, PhD) 東京⼤学⼤学院医学系研究科医学教育国際研究センター 博⼠課程修了⽣ |
日時 | 2014年3⽉20⽇(⽊) 18時00分〜19時30分 |
概要 | 今回我々は,インドネシアでは初めての本格的な地域基盤型多職種連携の学習プログラムを開発した.イスラム⼤学保健医療学部には,医学科、看護学科,薬学科,公衆衛⽣学科があり,これら4学部の学⽣が4⽇間のワークショップ,2⽇間のシミュレーション,2カ⽉の地域実習からなるプログラムに参加した.プログラムに先⾏し,グループ内の葛藤と雰囲気(scales of conflict in group ̶ CIG and atmosphere in group ̶ AIG)および多職種連携学習の準備状態に関する尺度(readiness for interprofessional learning scale RIPLS)の妥当性を確証的因⼦分析の⼿法により検証した.また,プログラムに対して教員や模擬患者の育成も⾏った.プログラムの検証は,KirkpatrickのレベルI〜IVの各々に対し量的,質的なデータを交えて⾏った.プログラムは全体としては成功を収めたが,詳細については当⽇発表する. |
資料 | ポスター、スライド 講演ビデオ |
第62回セミナー
テーマ | 「カリキュラム改⾰に伴う問題点︓授業時間、単位制、そしてアウトカム基盤型教育」 |
講師 | 〇ジョイス・ピカリング先⽣(Joyce Pickering, MD, FRCPC, FACP) カナダ マギル⼤学医学部附属病院医⻑、医学部医学科副学科⻑・准教授 東京⼤学⼤学院医学系研究科 医学教育国際研究センター 特任准教授 (2013年10⽉-2014年3⽉) 〇⼤⻄弘⾼先⽣ 東京⼤学⼤学院医学系研究科 医学教育国際研究センター 講師 〇孫⼤輔先⽣ 東京⼤学⼤学院医学系研究科 医学教育国際研究センター 講師 |
日時 | 2014年2⽉18⽇(⽕) 18時00分〜19時30分 |
概要 | わが国では、医学部の分野別認証評価への対策をきっかけに、様々な問題提起がなされるようになった。たとえば、教育目標やアウトカムに対し、学⽣や卒業⽣が実際に修得した能⼒を分析する必要性や、現⾏のカリキュラムが学⽣を⽣涯学習者に育て上げるものであるかを検証する必要性などが例として挙げられる。東京⼤学においては、単位制導⼊の是非や、授業時間など特に⾒直しが叫ばれている項目がある。今回のセミナーでは、これらの点について、3名の講演者がそれぞれの⽴場から発⾔する。⼤⻄講師は、アウトカム基盤型教育の要点、わが国の⼤学設置基準、授業時間や単位制を考える上でのその⼀般的解釈について、孫講師は、東京⼤学での現状や動きについて、ピカリング特任准教授は、北⽶での状況、授業をより魅⼒的にするための⽅法について話し、ディスカッションにつなげたい。 |
資料 | ポスター、スライド 講演ビデオ |
第61回セミナー
テーマ | 卒前教育カリキュラム開発に対する保健医療ニーズからのアプローチ “A Demand Side Approach to Medical School Curricula” |
講師 | 〇ジョイス・ピカリング先⽣(Joyce Pickering, MD, FRCPC, FACP) カナダ マギル⼤学医学部附属病院医⻑、医学部医学科副学科⻑・准教授 東京⼤学⼤学院医学系研究科 医学教育国際研究センター 特任准教授 (2013年10⽉-2014年3⽉) 〇渋⾕ 健司先⽣ 東京⼤学医学部医学系研究科 国際保健学専攻国際保健政策学教室 教授 |
日時 | 2014年1⽉15⽇(⽔) 18時00分〜19時30分 |
概要 | 医学部カリキュラムは、需要と供給の両者によって推進される。供給とは、教員が提供する情報やスキルを持つ医学⽣を提供することである。その内容は、通常これまでの教育内容、教員の関⼼や信念に沿っている。需要とは、様々な医療における⼈々のニーズを評価し、カリキュラムをニーズに適合させることである。医学カリキュラムは、需要と供給の要素を併せ持つ。本講演では、医学カリキュラムを計画する際の「需要」に焦点を当てて論じる。 そのために、対象地域の⼈々における疾患の重要性、ケアの選好に関する量的データが必要である。渋⾕健司先⽣には、Global Burden of Disease 2010 Projectの結果、特に⽇本の結果について述べていただく。需要に対処する他の⽅ 法、例えばカナダ医学カウンシルが改 訂した国家試験ブループリントについても、述べる。これらにより、様々なレベルでの保険⼈材育成 に⽰唆されることを論じたい。 |
資料 | ポスター、スライド(1)、スライド(2) 講演ビデオ |
第60回セミナー
テーマ | 「臨床推論能⼒の試験 ̶ Key Features ̶ 概要と有⽤性」 “Key Features Testing for Clinical Reasoning: What is it, and how useful is it?” |
講師 | ジョイス・ピカリング先⽣(Joyce Pickering, MD, FRCPC, FACP) カナダ マギル⼤学医学部附属病院医⻑、医学部医学科副学科⻑・准教授 東京⼤学⼤学院医学系研究科医学教育国際研究センター 特任准教授 (2013年10⽉-2014年3⽉) |
日時 | 2013年12⽉12⽇(⽊) 18時00分〜19時30分 |
概要 | Key feature (KF)問題は,臨床推論能⼒の試験として設計されている. 臨床場⾯の記述があり,診断・検査・治療の優先順位についての問いがMCQか短答式でそれに続く.KF問題は臨床推論能⼒が極めて領域特異的であり,問題解決のために2,3の特徴が必要であるという研究に基づいている.この2,3の特徴こそがKFと呼ばれる. KF問題はBordageとPageによって開発され,妥当性信頼性が確⽴されている.アウトカムからも妥当性が⽰された.現在,カナダの免許試験part1,豪州GP認定試験と腸外科医⽤⾃⼰評価に使われている.KF問題はオンライン上でも例が⾒ることができるようになる.多くの臨床状況に対するKFが⽰されるであろう.KF問題の作問や採点⽅法に関してはレビューされる予定がある.KF問題の内容妥当性は⾼く,アウトカムとリンクしている点は魅⼒的である.しかし,作問はやや⼿がかかり,採点⽅法もやや難しい. |
資料 | ポスター 講演ビデオ |
第59回セミナー
テーマ | 「北⽶での医学部認証評価︓概要とその背景」 “Accreditation of Medical Schools in North America: What is it, and why do we do it?” |
講師 | ジョイス・ピカリング先⽣(Joyce Pickering, MD, FRCPC, FACP) カナダ マギル⼤学医学部附属病院医⻑、医学部医学科副学科⻑・准教授 東京⼤学⼤学院医学系研究科医学教育国際研究センター 特任准教授 (2013年10⽉-2014年3⽉) |
日時 | 2013年11⽉29⽇(⾦) 18時00分〜19時30分 |
概要 | 本講演のテーマは,東京⼤学医学部が2015年に試みる分野別認証評価である.医学部に認証評価が必要な究極の理由は,医療安全やコンピテンシーを目指した教育になっているかどうかの保証である.また,目先の理由として,認証評価を受けた医学部の卒業⽣にUSMLE受験資格が 2023年以降も与えられる点もある.全ての医学部は認証評価においてWFMEの⽔準を満たさなければならない.国や地域によってこの⽔準は 変更も可能である. 認証評価に対し,各医学部は外的,内的な枠組みを必要とする.外的枠組みは,短い時間,偏⾒の排除,⽔準の明確化である.特に,利益相反や政治的⼲渉の排除は重要である.また,認証不可ということも考える必要がある.⽔準を満たせなかった医学部がどう対応すべきかについてのガイ ドラインも必要である.内的枠組みには,必要な変化を起こすために必要な権限とデータを得るための資源が挙げられる.まずは現状の内的枠組みについて議論が必要であろう.認証評価プロセスは⼤変だが,教育に変⾰をもたらし,必要な資源を得るための重要な機会にもなる.ケアを改善するという社会に対する究極の目的を常に前⾯に,中⼼に掲げて進めることが肝要である. |
資料 | ポスター、スライド 講演ビデオ |
第58回セミナー
テーマ | 「⽶国の家庭医療専門医研修の現状と未来」 |
講師 | ⼭下⼤輔 先⽣ オレゴン健康科学⼤学(OHSU) |
日時 | 2013年10⽉10⽇(⽊) 18時00分〜19時30分 |
概要 | 要アメリカでは医療の⾼度の専門化が進んだにもかかわらず、国⺠全体の健康は他国に⽐較して向上していない。医療費の⾼騰、複雑な医療保険制度、5千万を超える無保険者の存在、⼈⼝の⾼齢化、慢性疾患の増加といった変化を受けてアメリカにおける家庭医の役割も⼤きく変化している。 現在、家庭医療研修に関わる⽴場から、これらのあらたなニーズを受けてどのようにアメリカの家庭医療研修が変化して来ているかを紹介したい。 家庭医に求められているあらたな知識、技能先進的な家庭医研修の試みを研究したP4(Preparing Personal Physician for Practice)についての紹介現⾏の3年間から延⻑した、4年制家庭医療研修の試みACGMEの新しい専門医研修認定制度と、家庭医の新たなコンピテンシーの設定と評価 についての紹介(マイルストーンプロジェクト) |
資料 | ポスター、スライド、 講演ビデオ |
第57回セミナー
テーマ | 「ヘルスケアの歴史変動と医師の未来」 |
講師 | 猪飼周平 先⽣ ⼀橋⼤学⼤学院社会学研究科 教授 |
日時 | 2013年9⽉26⽇(⽊) 18時00分〜19時30分 |
概要 | ⽇本のヘルスケアのシステムを考える上で、次の3つの歴史的潮流を同時に視野に⼊れておく必要がある。すなわち、1)ヘルスケアの⽣活モデル化、2)⼈⼝⾼齢化、3)医学・医療技術の⾼度化である。1)はヘルスケアの究極的目標を従来の患者の治癒から患者のQOLに転換させてゆく⼒であり、ヘルスケアシステムの地域ケア化を導くものである。2)、3)は、多様な派⽣的影響を措けば、医療の財政への負担の増⼤をもたらす効果をもつ。つまり、⽇本のヘルスケアは⻑期的に、資源節約的な⽅法で地域ケアを実現してゆかなければならない、ということになる。これに対応して、⽇本のプライマリケア領域における医師の活動も、上で述べた⽂脈に対していかなる貢献をするかによって評価されるようになろう。本講演ではこのような観点から、ヘルスケアに取り巻く歴史的潮流を整理しつつ、医師が帯びる社会的使命についての⻑期的な展望について論じてみたい。 |
資料 | ポスター、スライド 講演ビデオ |
第56回セミナー
テーマ | 「ふんばろう東⽇本⽀援プロジェクト」にみる現場主義と⼈材育成の原理 〜本質学としての構造構成主義の視座〜 |
講師 | ⻄條 剛央 先⽣ 早稲⽥⼤学⼤学院商学研究科専門職学位課程 専任講師 ふんばろう東⽇本⽀援プロジェクト 代表 |
日時 | 2013年7⽉9⽇(⽕) 18時00分〜19時30分 |
概要 | 私が体系化した「構造構成主義」は、物事の“本質”を捉える学問です。難解な印象があるかもしれませんが、ある⾔葉の本質(最も重要なポイント)が明晰になれば、本質からぶれることなく⾃覚的、意識的に実践できます。あらゆる事象にしなやかに対応する考え⽅であり、また信念対⽴(正しさをめぐる意⾒の対⽴)を克服・解消するため原理でもあるため、これまでも医療領域を中⼼に100を超える分野に導⼊されていました。そして、未曾有の災害・東⽇本⼤震災の⽀援活動においても真価を発揮することとなりました。この原理がバックボーンにある「ふんばろう東⽇本⽀援プロジェクト」は、物資⽀援だけで3000箇所以上の避難所、仮設住宅、個⼈避難宅などに3万5000回以上、15万5000品目もの物資の⽀援を実現しました。その他にも家電プロジェクトや重機免許取得プロジェクト、ものづくりプロジェクトなど数⼗のプロジェクトが3000名もの無償ボランティアの⼒によって実現する⽇本最⼤級のプロジェクトになったのです。 この「構造構成主義」が最も多く導⼊され、最も有効性を発揮すると期待されているのが医療界です。実際に、チーム医療、医学、看護学、作業療法、理学療法、認知症アプローチ、介護、ソーシャルワーク、医療倫理、医療社会学、障害学、QOL理論などといった様々な領域・テーマに導⼊され、多くの現場で実践されています。医療現場では患者と医療者、各職種間、研究と臨床などの間で様々な信念対⽴が⽣じやすく、こうした対⽴を克服するためには構造構成主義が有効です。 たとえば、⽅法の原理(本質)は、⽅法が特定の状況において何らかの目的を達成するための⼿段である、というものであるため、どういった⽅法が良いかは状況と目的に応じて決まるため、常に(1)目的と(2)状況を踏まえてその都度「良い」⽅法を選択、創造していけばよいということになります。これによって「⽅法」を巡る無⽤な信念対⽴に陥ることなく、しなやかに有効な⽅法を選択できるようになります。また、医療には技術のみならず、「愛」が必要だといったことも⾔われる場合もあると思いますが、「愛」とは何か、その本質がわからなければ「愛」のある医療を⾼い⽔準で安定して実践することも、意識して指導することもかなわないでしょう。今回の講演では、よりよい医療の実現のため、本質学としての構造構成主義のエッセンスをお伝えしていきます。 |
資料 | ポスター 講演ビデオ |
第55回セミナー
テーマ | 「ポートフォリオ評価」 |
講師 | ⼤⻄ 弘⾼ 先⽣ (東京⼤学⼤学院医学系研究科 医学教育国際研究センター 講師) |
日時 | 2013年6⽉18⽇(⽕) 18時00分〜19時30分 |
概要 | 医学など医療領域の臨床教育は、患者や社会のニーズに応えるため、患者-医療者関係、⽣涯学習、多職種連携、予防医学、エビデンスに基づく医療など、より統合的な教育アウトカムを達成する必要性を増しつつある。学習者評価は学習を導く役割を持つが、上のような統合的アウトカムを評価するための⼿法には選択肢が少ない。ポートフォリオは、学習プロセスで集められた様々な情報、記録、省察内容をまとめたもので、まとめ直すときに学習が深まる効果もあるが、評価としても利⽤可能である。 本講演では、このようなポートフォリオの⼀般的性質と、それを総括的評価として⽤いてきた⽇本プライマリ・ケア学会の家庭医療専門医プログラムにおける様々な経験についてお話したい。 |
資料 | ポスター、スライド 講演ビデオ |
第54回セミナー
テーマ | 「医学部の教育を認証する」 |
講師 | 北村 聖先⽣ (東京⼤学⼤学院医学系研究科 医学教育国際研究センター 教授) |
日時 | 2013年5⽉28⽇(⽕) 18時00分〜19時30分 |
概要 | 2023年以降、⽶国ECFMGは国際的認証を受けた医学部出⾝者以外の受験を認めない旨の宣⾔をした。我が国の医学部で国際認証を受けているものはまだなく、このままだと我が国の医学部を卒業したものはECFMGを受験できなくなる。このニュースをきっかけに、医学部の教育体制の評価と 認証について多くの議論がなされ、近々、時代を画するような⼤きな変⾰が⾏われようとする予兆がある。 セミナーでは、できるだけ根本に⽴ち返って、医学部の分野別評価に関して、なぜ⽇本はガラパゴスであったか︖、今後⽇本はどのように変わるのか︖、どのように変わるべきか︖について議論する。 |
資料 | ポスター、スライド 講演ビデオ |
第53回セミナー
テーマ | 「“カフェ型”ヘルスコミュニケーションにおける学びとは︖ 〜越境・対話・変容〜」 |
講師 | 孫 ⼤輔先⽣ (東京⼤学⼤学院医学系研究科 医学教育国際研究センター 講師) |
日時 | 2013年4⽉26⽇(⾦) 18時00分〜19時30分 |
概要 | 昨今「◯◯カフェ」という対話活動を様々な形で聞くようになった。こうした”カフェ”活動は、90年代にフランスやイギリスではじまった「哲学カフェ」や「サイエンスカフェ」を源流としている。演者は2010年より、サードプレイスにおいて市⺠・患者と医療多職種が参加し健康や医療をめぐるテーマで対話を⾏う「みんくるカフェ」というヘルスコミュニケーション活動を始めた。ここでは、単に専門家が非専門家へ教育するのではなく、ヘルスプロモーション・終末期ケア・介護など⼀義的解のないテーマについて、参加者が様々な視点を持ち寄り対話を⾏うことで、多義的な学びが起こっていると考えられる。こうした活動は、地域基盤型活動として⾏うことにより、単なる学びの場としてのみならず、地域の健康問題を解決する新しい⼿法としての可能性も有している。今回、この”カフェ型”ヘルスコミュニケーションの特徴を「越境」、「変容」といったキーワードで分析しつつ、この⼿法による新しい市⺠教育や医療者教育としての可能性も探ってみたい。 |
資料 | ポスター、スライド 講演ビデオ |