2017年度

第107回セミナー

テーマ 「医学部卒業時の臨床能⼒評価︓東⼤PCC-OSCEの評価構造と信頼性」
講師パク ユンス 先⽣(Yoon Soo Park, PhD)
・イリノイ⼤学シカゴ校医学部医学教育学講座 准教授
・東京⼤学医学教育国際研究センター 特任准教授
(滞在期間︓2017年9⽉〜2018年2⽉)
日時2018年2⽉9⽇
概要PCC(Post-Clinical Clerkship)OSCEは、卒業時の医学⽣の臨床能⼒評価に世界中で使⽤されており、卒前医学教育の修了に備えるとともに、卒後研修への移⾏への準備状態を評価するために⽤いられる。北⽶では、卒業準備状況の評価と、USMLE準備中の学⽣にフィードバックするために、PCC-OSCEが使⽤されている。本講演では、2017年12⽉に東京⼤学で⾏われたPCC-OSCEの結果を、評価者⼀致度、信頼性、その他の⼼理測定分析を含めて報告する。これらの知⾒を、⽂献上の国際的なベンチマークと⽐較し、合否判定基準設定や妥当性に関する⽰唆といった問題を含め、テスト開発における今後の検討事項を提⽰する。
ポスター

第106回セミナー

テーマ「⽶国の卒前医学教育におけるカリキュラムのトレンド︓ 臨床前教育の⾝体診察とレジデンシーへの準備カリキュラム」
“Curricular Trends in U.S. Undergraduate Medical Education: Examples from Pre-Clinical Teaching of Physical Examination and Preparatory Curriculum for Transition to Residency”
講師パク ユンス 先⽣(Yoon Soo Park, PhD)
イリノイ⼤学シカゴ校医学部医学教育学講座 准教授、
東京大学医学教育国際研究センター 特任准教授 (2017年9⽉〜2018年2⽉)
日時2018年1⽉16⽇
概要⽶国の卒前医学教育は、レジデンシーに⼊る学⽣の準備状態改善と医師のコンピテンスの説明責任向上への要請により変化しつつある。特に、⾝体診察教育の適切さと医学部最終学年の教育的価値に関する懸念は、⼆、三⼗年間議論されてきた。この講義では、(1)臨床前の⾝体診察教育、(2)最終学年カリキュラムの2つの例を中⼼に、医学教育カリキュラムの変わりゆく情勢に焦点を当てる。まずは、⽶国の医学校に対する
調査で得られた知⾒を⽤いて、臨床前学年に⾝体診察を教えるための教授法、評価、資源について論じる。また、最終学年カリキュラムは、コンピテンシー基盤型医学教育への近年のパラダイムシフトに照らして、⽂献レビューに基づいて検証したい。
資料講演ポスター講演スライド, 講演ビデオ

第105回セミナー

テーマ「医学教育におけるトランスレーショナル・サイエンスと妥当性︓ 業務基盤型評価とそのシステムからの洞察」
“Translational Science and Validity in Medical Education: Insights from Workplace-Based Assessments and Assessment Systems”
講師パク ユンス 先⽣(Yoon Soo Park, PhD)
イリノイ⼤学シカゴ校医学部医学教育学講座 准教授、
東京大学医学教育国際研究センター 特任准教授 (2017年9⽉〜2018年2⽉)
日時2017年12⽉21⽇
概要業務基盤型評価(WBA)は、コンピテンシーを有した医師の養成と認定に不可⽋であり、臨床現場における研修医の”does”を直接的、継続的に観察し、もっとも複雑なレベルの習熟度でのフィードバックを可能にします。WBAの例には、ローテーション評価(研修評価レポート[in-training evaluations reports, ITER]とも呼ばれる)、360度評価、Mini-CEXなどがあげられます。本講演では、ローテーション評価から得られた経験的な証拠を使⽤してWBAを開発、管理、分析するためのベストプラクティスのガイドラインを紹介します。さらにWBAは、(1)複数の評点を使⽤して研修医の修了判定を⾏う評価システム、(2)評点を患者や病院のアウトカムと結びつけるトランスレーショナル科学の⼤きな⽂脈で議論されます。
資料講演ポスター講演スライド,講演ビデオ

第104回セミナー

テーマ「マスタリーラーニングを⽤いた学習者の評価︓ 妥当性, 判定基準設定, 応⽤」
“Assessing Learners Using Mastery Learning: Issues in Validity, Standard Setting, and Applications”
講師パク ユンス 先⽣(Yoon Soo Park, PhD)
イリノイ⼤学シカゴ校医学部医学教育学講座 准教授、
医学教育国際研究センター 特任准教授 (2017年9⽉〜2018年2⽉)
日時2017年11⽉2⽇
概要マスタリーラーニングと習熟度テスト(mastery testing)は、医学部とレジデンシープログラムの両⽅でコンピテンシー基盤型の医学教育を実施する⽅法としてますます普及しつつあります。 マスタリーラーニングとは、次なる教育経験への進捗状況が、カリキュラムの決められた時間ではなく、実証されたパフォーマンスによって決定される、インストラクショナルアプローチを意味します。 学習者は所定の習熟レベルに達するまで、繰り返し練習し、再テストすることが必要となります。 マスタリーラーニングでは、最終的な達成度はすべて同じですが、⼀部の学習者は、他の学習者よりも多くの時間とテストを必要とする場合があります。
この講演では、習熟学習における妥当性と合否判定基準設定の問題に焦点を当てます。マイルストーンとEPA(entrustable professional activities)の⽂脈におけるマスタリーラーニングの議論を含め、最近の研究のまとめと実践応⽤について⽰す予定です。
資料講演ポスター講演スライド、
講演ビデオ

第103回セミナー

テーマ“Reimagining Medical School: The Innovative Medical School Curriculum at Penn State College of Medicine – University Park Regional Campus”
講師ジェフリー・ウォン 先⽣(Jeffrey G. Wong, MD, FACP)
ペンシルベニア州⽴⼤学 ユニバーシティパーク校、 リージョナル・キャンパス医学部 副学部⻑
平成24年度医学教育国際協⼒研究センター 特任教授
日時2017年10⽉27⽇
概要Prior to receiving the MD degree, education for students in medical school has generally followed a traditional format. First, there is an initial period of instruction conducted within a classroom or a lecture hall or a laboratory where the subject matter of medical science is taught. Courses are created based on scientific disciplines or, in more integrated curricula, based on organ systems or systemic bodily processes and taught in a scheduled sequence determined by the teacher or the school. After this period, students are then immersed in clinical settings with patients and physicians/nurses/health professionals and try to apply that which they learned in the classroom into this new, real-life context. The premise of the new innovative Penn State Curriculum is that learning could be better achieved if it is done in a real-life context from the beginning. As such, our new curriculum places students very early in their education (even before
they “know” anything medical) into authentic patient care experiences, not a junior doctors, but more in a health systems navigator role wherein they are involved with real patient with real conditions that generated for them real questions. Those questions are then brought back to a small group of peers and discussed with a physician educator and, in this fashion, the subject matter of medical science is learned.
資料講演ポスター講演スライド
講演ビデオ

第102回セミナー

テーマ「医学教育の現状と未来」
講師江頭 正⼈ 先⽣
東京⼤学⼤学院医学系研究科 医学教育国際研究センター
医学教育学部門 教授
日時2017年10⽉10⽇
概要グローバル化や超⾼齢化がすすむなかで社会が医学科に求める⼈材も変化してきています。このような状況の中、我が国では、卒前医学教育、卒後臨床研修、専門医制度が⼤きな変⾰を求められています。たとえば、卒前教育では、診療参加型臨床実習が導⼊されましたが、今後さらなる実質化が必要です。さらに臨床実習後のOSCEによる評価も普及しつつあります。シミュレーション教育、⼊学後早期の教育、⼊試改⾰、IR組織の設⽴など多くの課題が待ち受けています。専門医制度はいよいよ来年度からの開始が決定し、2020年の臨床研修の到達目標の改訂では卒前卒後のシームレスな接続を可能とするべく検討されています。本セミナーでは医学教育に関わる最近の課題について、当学の取り組みとともに紹介させていただきます。

第101回セミナー

テーマ「USMLE臨床能⼒試験における臨床推論能⼒評価に関する妥当性」
“Validity Studies on the Assessment of Clinical Reasoning Skills Using Patient Notes”
講師 パク ユンス 先⽣(Yoon Soo Park, PhD)
イリノイ⼤学シカゴ校医学部医学教育学講座 准教授、
東京⼤学⼤学院医学系研究科 医学教育国際研究センター 特任准教授
(滞在期間︓2017年9⽉〜2018年2⽉)
日時2017年9⽉21⽇
概要2012年、USMLE(⽶国医師免許試験)Step2-CS(臨床能⼒試験)の⼀部に、受験者に鑑別診断の正当性の根拠を記述させる新たな診療録記載⽅式が導⼊された。受験者は可能性の⾼い順に3つまで診断を記載し、病歴と⾝体診察から診断を⽀持する/しない症状や所⾒を列挙する。この記載⽅式の変更は、卒前教育における臨床スキルの指導と評価の⾒直しにつながっている。本講演では、5年にわたる診療録の妥当性に関する5つの研究のまとめを提⽰し、診療録記載の評価基準、模擬患者⾯接と診療録を対照したデータ収集能⼒の査定、診断の正当性、臨床推論における症例特異性、診療録スコアの⼼理統計、⽶国内の7医学校での傾向、といったテーマについて議論する予定である。
資料講演ポスター講演スライド
講演ビデオ

第100回セミナー

テーマ「2500年前のギリシャの医師ヒポクラテスの“病気の本態・医療・医師”への鋭い洞察について」
講師加我 君孝 先⽣
(初代東京⼤学医学教育国際協⼒研究センター⻑・東京⼤学名誉教授)
日時2017年6⽉16⽇
概要ヒポクラテスは2500年前のギリシャのコス島の医師で、ソクラテスの後、アリストテレスの前の時代に活躍した。現在の医学でもなお彼の残したと⾔われる“誓い”や“医師の⼼得”が取り上げられるが、これは偏っていると思われる。演者はヒポクラテスが⽣まれ活躍したエーゲ海のコス島を訪れ、初めて2500年も前に病気の本態や医療のあるべき姿や医師への警句を書き残したその理由がわかるような気がした。ヒポクラテス全集に彼の症例報告が多数掲載されており、かつ医師が守るべきことや、してはならないことも書き残されている。1例として、神聖病は当時の医師は神の祟りであるとか、呪いとか⾔っていたが、ヒポクラテスは他の病気と変わらない⾃然の病の⼀つで脳の病気であると⾒抜いている。今は神聖病はEpilepsyという。これが脳の病気とわかったのは20世紀の初
め、脳波が発⾒されてからである。医学図書館の前に育つ⼤きなヒポクラテスの⽊を眺め、かつヒポクラテス全集を読み、彼の努⼒を想像することは意義のあることと思う。
資料講演ポスター講演スライド
講演ビデオ

第99回セミナー

テーマ「プライマリ・ケア専門医はなぜ必要か」
講師丸⼭ 泉 先⽣
(⽇本プライマリ・ケア連合学会理事⻑・医療法⼈社団豊泉会)
日時2017年5⽉19⽇
概要プライマリ・ケアの課題は、実は⾒えにくい。隣の家で、今何が問題になっているのかが分かりづらいのと同じである。⽇本の医療は、世界トップクラスの平均余命、住⺠からのアクセスのよさ等、評価されているのであろうが、残念ながら、それは⾒える部分に限定したものかもしれない。⼩学⽣の頃に皆が⼀度は描いたであろう、科学技術の進歩を背景とした夢のような未来図は何であったのか。世界的に格差は顕在化し、医療で⾔うならば享受しうる者と、そうでない者とに⼆極化しつつある。⽇本においても例外ではなく、医療の持続可能性は難しい局⾯に⼊っている。プライマリ・ケアの専門医 を、その領域の専門性の具現化として確⽴しなくてはならないと、私共は数⼗年間活動を続けてきた。その理由も、初期には専門性によって分断した医療に対するジェネラリ ズムという対⽴命題であったが、もはや、健康の社会決定要因の是正等、差し迫った保健医療ニーズからの要請となっている。
総合診療専門医はプライマリ・ケアの専門医である。なぜ今、これを急ぐのか、このことによって何が変わるのかについて述べる。
資料講演ポスター講演スライド
講演ビデオ

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